土佐源氏
🌸『土佐源氏』🌸
を倉敷まで一人で観に行って参りました。
演者は坂本長利さん。88歳の米寿を迎えられ、なんと50年間この土佐源氏をたった一人で演じ、今回が1193回目の公演という、凄まじいお方です。
昨年12月に放送されたNHKスペシャルを観て、50年間同じことを突き詰めてきた方に会いたいという一心で行ってきましたが、面白いもので、同じような思いで来られていた方が現地におりました。
北九州から一人で来られていた女性で、意気投合して仲良くなりました。
こんなご縁も面白いものですね。
土佐源氏とは、山口県出身の民族学者・宮本常一氏著書『忘れられた日本人』に登場する盲目の老人、高知県梼原町で実際に聞き書きした元馬喰(牛馬売買人)の一代記を、坂本長利さんが独演化したものです。
言葉は悪くなりますが、今でいうホームレス(乞食)の人生物語です。
その人生とはほとんどが色もの話ですが、ただ下品というものではなく、一つ一つに無秩序と片付けられれない物語があるから、面白いものです。
美しさも汚らわしさも持ち合わせているのが人間であると、つくづく感じさせられるものがありました。
人間とは弱きもの。そして、その弱さを認められる強さがあるもの。
そんなものが大いに感じられるお芝居でした。
そして、なんといっても坂本長利さんの迫力ある演技には、終始釘付けでありました。
本当に佳いものを有難うございました。