dantelのブログ

日々の心境、思想、学び、気づき等を書き留めています。いつか、後世への遺物となることを願っています。

100年前からの警告

チェコスロバキアの作家、カレル・チャペックの『ロボット』を読みました。

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今からちょうど100年前の1920年に出版され、原作名は【R・U・R(エル・ウー・エル)ーロッスムのユニバーサルロボット】です。

この物語(戯曲)に、世界ではじめて登場した名前が、タイトルでもある『ロボット』です。

今では誰もが知るこの名前は、実はチャペックとお兄さんが作り出したものだとか。

チェコ語にあるロボタという『賦役』を意味する造語のようです。

この物語の内容は、極めてバーチャルである反面、最もリアリティのある、ぞっとするお話なのですが、それはきっと近未来、そして現代においてもある意味警告的な意味合いを持っているからでしょう。

物語では、R・U・R社が人間そっくりなロボットを開発し、安く、大量生産に成功するのです。

社長のハリー・ドミンには、労働から人々を解放したいという理念がありました。

生産されたロボットたちが、変わりに仕事をしてくれるお陰で、人間たちは楽園のような日々を過ごすこととなったのです。

しかし、ロボットは次第に、自分たちの方が人間より有能であることに気付きはじめました。

そうして人間を排除していく。

社長をはじめ、残された僅かな人間たちは、なんと愚かなことをしてきたのかと後悔するのですが、時既に遅し・・・。ロボットが地球を支配する時代が来てしまいます。

そうしてここが面白いのですが、ロボットたちも同じような道を辿っていく・・・。
(聖書に結び付く結末は感動的です)


人間が物心共に豊かになっていくことは非常に良いことなのですが、効率と利便性、生産的であることだけを追い求めることによって、危険と恐怖を伴う点を、とても分かりやすく教えてくれているように思います。

100年前の、チャペックからの警告書のようにも受けとれます。

これから未来に向かって、AIとの共演によって、未だかつてない体験と、人間の可能性を超越するような社会が出来上がっていくでしょう。

その事が、コインの表裏であり、両面を考え、人間らしい使い道を常に模索しなければならないと思います。

非常に読む価値のある本でした!