大切な景色
仕事で書類をお届けした帰り、私が生まれ育った家の跡地をふと辿ってみました。
物心がついた時から見て育った場所は、もうすっかり変わってしまったところと、未だ変わらないものとが混ざりあって、新しい景色を作っていました。
私の住んでいた家は、すっかり壊されていて、新しい家が立ち並んでいます。
それでも、電信柱、家の一番奥にある塀は全く変わっていません。
その変わらないものが、とても愛しくなって、写真に納めました。
住んでいた家の近所も、全く変わらない場所があります。その場所を見ていると、ふと幼いあの頃の自分の目がその場所を見ている気になったんです。
そして、その感覚のまま、後ろを振り返ったら、今の自分の目に戻りました。
あの頃見ていたものと、まったく違う鉄筋コンクリート造が、私を現実に戻したのです。
時代と共に、良くも悪くもなく、景色は刻々と変わっていきます。
そして、何より自分自身が変わってもいくものです。
しかし、懐かしい、心に大切にしまっている場所は、永遠に変わることはないと思います。
私の生きてきた道。原点。
私だけが愛しく感じる場所。
そんな場所を与えてくれた両親に感謝です。