でんでんむしのかなしみ
新美南吉の『でんでんむしのかなしみ』というお話があります。
この本は、美智子皇后陛下が1998年に行われた国際児童図書評議会ニューデリー大会で、ご自身が子供時代の読書の思い出として紹介されました。
私はこの本を、2年前に知しました。
ある日、一匹のでんでん虫が、自分の背中の殻に悲しみが一杯詰まっていることに気付き、友達を訪ね、もう生きてはいけないと告白するのです。
友達のでんでん虫は、それはあなただけではありません。私の背中にも、悲しみは一杯詰まっている、と答えます。
でんでん虫は、また別の友達、また別の友達と訪ねて行き、同じ告白をするのですが、どの友達からも返ってくる答えは同じなのです。
そして、やっと、悲しみは自分だけではなく、誰もが持っているものと気づくという内容です。
今日、新元号が発表されました。
新元号【令和】の時代に、明るい、笑顔の多い時代を望む人は多いとおもいます。
私もその一人です。
しかし、昭和の戦争、平成の大災害と、日本は大きな悲しみを背負っていることも事実です。
そのような悲しみを風化させず、ちゃんと背負いながら、未来を作っていけたら佳いなとおもいます。
平成から令和を繋ぐ4月がはじまりました。存分に味わっていきたいものです。