イチロー選手の引退
昨夜は衝撃が走りました。
『イチロー引退』
いつもは11時過ぎには寝る私も、昨夜はおそくまでイチロー選手の引退会見を見ておりました。
日米あわせて28年間、数々の記録を作り上げてきたイチロー選手。まさに平成のスーパースターです。
イチローといえば、記録!という印象が強いですが、昨夜の会見では、とても大切な気付きを体感され、また我々にも語ってくれたようにおもいます。
それは、いま思い返して印象に残っているシーンは?という記者からの質問に答えた事でした。
今日を除いてですよね?と確認したうえで、ゆっくりと丁寧に、イチローらしい間と表情で答えていきます。
『この後、時間がたったら今日が一番真っ先に浮かぶことは間違いないと思います。
ただ、それを除くとすれば、いろいろな記録に立ち向かってきたんですけど、そういうものは大したことではないというか。』
『自分にとって、それは目指してやってきたんですけれど、いずれそれは、僕ら後輩が先輩たちの記録を抜いていくというのは、しなくてはいけないことでもあるとは思うんですけど。
そのことにそれほど大きな意味はないと言うか。そんなふうに、今日の瞬間なんかを体験すると、すごい小さく見えてしまうんでうよね。
その点で、例えばわかりやすい10年200本(安打)を続けてきたこととか、MVPをとったとか、オールスターでどうたらとか、ほんと小さなことに過ぎないと思います。』
そして、
『今日のあの舞台に立てたことというのは、去年の5月以降、ゲームに出られない状況になって、その後チームと一緒になって練習を続けてきたんですけど、それを最後まで成し遂げられなければ、今日のこの日はなかったと思うんですよね。
今まで残してきた記録は、いずれ誰かが抜いていくと思うんですけど。去年の5月からシーズン最後の日まで、あの日々はひょっとしたら誰にもできないことかもしれないと、ささやかな誇りを生んだ日々であったんですね。
そのことが、去年の話ですから近いということもあるんですけど。どの記録よりも自分の中では、ほんの少しだけ誇りを持てたことかなと思います。』
このコメントには凄いものを感じました。
イチロー選手にしかわからないことですが、記録を目標にしてきたけれども、それは実は大したことはない。
それよりも、あれだけのファンが、イチローを応援し、結果がどうであれ一球ごとに拍手を送るあの時間。
その喜びはきっと、イチローが野球を愛していた姿勢が生んだ時間だとおもいます。
これは人生もそうだとおもいます。
死生観というものがありますが、人が死を迎えたとき、人生を振り返ったときに何が一番大切だったと思うか。
それはきっと物質的なものや数々の記録ではなく、愛してきたもの、愛することができたことや人への喜びなのではないでしょうか。
そんなことを、イチロー選手の会見から感じました。
一つの時代が終わったようにもおもいますが、またこれからのイチローも楽しみです。