dantelのブログ

日々の心境、思想、学び、気づき等を書き留めています。いつか、後世への遺物となることを願っています。

漱石山房記念館

昨日は東京で仕事をさせて頂きました。

商談までの時間を使い、私の出張の楽しみである『記念館巡り』に出掛けました。

今回訪れたのは、新宿にある『新宿区立漱石山房記念館』です。

漱石が晩年の9年間を過ごした地を、新宿区が買い取り、本格的で立派な記念館が建てられておりました。

まず館内で驚いたのが、広さ、高さ、壁の模様、そして置いてあるものまで忠実に再現された漱石の書斎があることでした。

書斎には、漱石が実際に使われていた物まで置かれていました。

きれいに整頓された書棚に、床に並べられた本の束。机は小学校で使うくらいの小さなもので、原稿とペンとインクのみ。余計なものは全く置いていません。

座布団に座り、1日の殆どをこの部屋での執筆活動に専念したといいます。

漱石の几帳面な面影を、ここに感じる事ができました。

また、漱石が天才であるということは言うまでもありませんが、天才を感じる一つの出来事として、帝国大学(今の東京大学)の初の英文科講師というエリートの絶頂にいながらに、その地位を捨て、当時ベンチャー企業であった朝日新聞に転職したことです。

執筆活動に専念する強い現れでもあるのですが、何よりも未来の行く末を見る『先見性』が突出していたからでしょう。

また、一等国であるイギリスに2年留学したときにも、『最も不愉快な2年』と表現しており、その一等国に追い付こうとしている日本の情勢を冷静に観察し、小説三四郎では『滅びるね』と表現しております。

作家として数々の名作を世に送り出してこられましたが、その活動期間はわずか11年。

小説を通じて語ってこられた漱石自身の『先見性に見た悩み』は、漱石の日本に対する、いや世界に対する誠の心で訴えてきた警告のように思います。

その警告は、今の時代に生きる我々も、今の時代を良く洞察し、受け止めていかなければならないでしょう。

新たな気持ちで、夏目漱石を読んでみたいと思います。

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