dantelのブログ

日々の心境、思想、学び、気づき等を書き留めています。いつか、後世への遺物となることを願っています。

全体主義の起源

100分で名著『ハンナ・アーレント
全体主義の起源』を見終わりました。

ハンナ・アーレントは、
1906年にドイツで生まれます。

ドイツに台頭した、ナチス反ユダヤ主義政策に
よって政治への関心が高まりました。

自身もユダヤ人であり、1933年ナチスが政権を
獲得すると、迫害を逃れるためアメリカに
亡命します。

戦後、明るみに出た『組織的大虐殺』の実態は、
アーレントの想像をはるかに超えるものでした。

こうした体験に基づいて、1951年に発表された
のが『全体主義の起源』です。

全体主義とは、いいも悪いも分別なく、
こうあるべきだ!という思想に全体が
向かっていく力であります。

ナチスを支持した国民は、みな悪人では
ありません。ごく普通の一般市民が大半です。

そんな市民がナチスを支持していく恐ろしい力、
全体主義はいかに起こり、なぜ誰にも
止められなかったのか。

非常に興味深いものでした。


経緯はこのようなものです。

まず、ユダヤ人という人物像が権力者によって
定義付けられ、ユダヤ人イメージが広まります。

その定義が国民の意識を芽生えさせ、
民族による優劣が発生します。

すると人種思想が広がり、民族的な
ナショナリズムが充満するのです。

ユダヤ人の劣勢が明確化されると、国を失う
無国籍者が大量に発生します。

そして、優勢ナチズムが広がり、大規模な
ユダヤ人迫害がはじまります。

それが最終的に、ユダヤ人大量虐殺へと
繋がっていったのです。


みんなと一緒というのは、ある意味安心できる
ものですが、考えない、そして無知であるほど、
そのような思想になってしまいます。

人間とは、多種多様な人と人の集合体です。

アーレントの言葉で言うと、
『人類の複合性』です。

複合性がある人々の間には、『間』が必要であり、それは個々の考え方を認めあう絆の間でもあると、アーレントは言います。

もうすぐ、衆議院の解散選挙の日が来ます。

ただメディアの一面だけを判断材料にせず、
自分の頭で考え、自分の意思をもって投票する。

そうしていきたいものですし、同世代には特に、
そんな人間が増えればと願います。