dantelのブログ

日々の心境、思想、学び、気づき等を書き留めています。いつか、後世への遺物となることを願っています。

戦争を知らない人間は、半分は子供である。

100分で名著、大岡昇平著書『野火』を
見終わりました。

舞台は太平洋戦争で、日本軍がもっとも
戦死者を出したフィリピン。

守備隊は全滅し、生き残った主人公、
田村一等兵が、生と死の間に揺れる極限状態に
見た、人間の姿を写し出した小説です。

大岡さん自身も、比島で戦争体験をされ、
その体験を投影されたものだと言われています。

今、普段の生活からは想像も出来ない、
人間の卑劣さ、欲望、残虐さを感じました。

同時に人間は、綺麗なものだけでは
生きていけない。

そういったもの全てが人間であるということも、
思い知らされました。

太平洋戦争が終わり、その5年後に朝鮮戦争
始まります。

その情勢を大岡昇平さんは当時、
こう書かれています。


『この田舎にも朝夕配られて来る新聞紙の報道は、私の最も欲しないこと、つまり戦争をさせようと
しているらしい。

現代の戦争を操る少数の紳士諸君は、それが
利益なのだから別として、再び彼らに
欺されたいらしい人達を私は理解出来ない。

恐らく彼らは私が比島の山中で遇ったような
目に遇うほかはあるまい。

その時彼らは思い知るであろう。

戦争を知らない人間は、半分は子供である。』


私は、この戦争を知らない人間は、半分は
子供であるという言葉が、
非常に印象に残りました。

私は戦争を知りません。
歴史もまだまだ知りません。

そして、戦争を体験することなくこの世を
去っていきたいと強く願うものです。

だからこそもっともっと事実を知り、
歴史を学び、そして歴史に学ぶことによって、
未来を見る大事な目が育つのだと思います。

無知である自分を思いしり、
もっと学んでいきたいと強く思いました。

今の時代だからこそ、
『野火』を読むことに意味があると思います。