dantelのブログ

日々の心境、思想、学び、気づき等を書き留めています。いつか、後世への遺物となることを願っています。

山椒魚戦争

カレル・チャペックの【R・U・R(ロボット)】に続き、【山椒魚戦争】を読みました。

ロボットが1920年山椒魚戦争が1936年の作品ですから、ヨーロッパは第一次世界大戦を経験、そして第二次世界大戦前という激動の中にありました。

R・U・Rでは、科学技術の発展により作り出したロボットが、人間の代わりに労働や家事など何でもしてくれる存在になり、人間は堕落していくのです。

次第にロボットたちは、堕落した人間に変わって世界を征服していくという内容です。

山椒魚戦争では、これまで知られていなかった新種の山椒魚が発見されます。その山椒魚は、どうやら教育すれば言葉を覚える事ができ、人間に従い、働くことまで出来るのです。

各国が利益のために争って、山椒魚を大量に生産しはじめます。やがて人間の10倍の数まで増えた山椒魚たちは、住む場所を求め、陸地を次々に海に変え、人間を攻撃し始めるのです。


大戦争の渦中を生きた作家、カレル・チャペックは、人間はその発展する途上でみずから創り出したものによって滅びるのではないか?という危機感とテーマを常に持っていたといいます。


確かに科学技術は、人間を幸にも不幸にも出来る産物です。

核兵器や公害、大気汚染、平和利用とした原発、そしてウイルス・・・。

ロボットや山椒魚に比喩した物語は、リスクコントロールを間違えた人類を破滅させていきました。

現実社会でも、誤った方向へ向かわぬよう努めていかなければなりません。


1939年4月30日、ニューヨーク万国博覧会の開会式で、アルベルト・アインシュタインは短いスピーチでこう残しています。

『科学がその責務を偽りなく全うすれば、その成果は表面的のみならず内的な意味を持ち、芸術のように、人々の意識に深く入っていくだろう。』


どうか、『偽りない』科学のコントロールを成してもらいたいと願います。