85歳の立ち退き
私のお客さまで、85歳の女性がいます。
先日、ご自宅にお伺いしますと、大家さんから急な立ち退きを迫られたといいます。理由は『建物の老朽化』。立ち退き期日は2019年4月。
85歳で立ち退き。これから何処へ行けばよいかと途方に暮れながらも、勇気を振り絞って不動産屋さんに入ったそうです。
結果、85歳の方が一人で住める家はありませんでした。
息子さんはいるのですが、息子さんの嫁さんのことを考えると一緒に住ませてほしいとも言えないし、第一迷惑をかけるのは避けたいと言います。
府営住宅などに移るしかないのか、と本当に心身ともにまいっていたところでした。
しかし、賃借人は弱い立場にありますから、当然保護されるべきだと思い、すぐに、不動産経験を持つ後輩に話をしました。
すると開口一番、『老朽化など、立ち退きの理由にならない。今すぐ立て替えないほどのものでしはか?』と。
『確かに築年数は経っているけど、前の台風でも雨漏りもしていないから、そこまでじゃないよ。』
『じゃあ、住み続けられますよ!』
そして、
『もし立ち退きする場合は、入居時に支払った敷金・敷引・礼金、は全額返金。また引っ越し費用も出してもらい、さらに立ち退き料として100万円出してもらうのが相場ですよ!』
さらに、
『年寄りだから、足元を見てるんですよ。もし相手が不服を言うなら、5,000円で調停できます。絶対に負けないですから。』と力強くいってくれました。
その事をお客さまに伝えると、本当に良かったと、安堵の声を下さいました。
今現在、立ち退きの期限は撤廃されているようです。
このように世の中には、圧倒的な知識格差と強い立場にある者の都合により、弱い立場の人間は不都合を強いられてしまうケースがあります。
弱い立場の人間を守れるのは、知識と知恵だと思いました。今回は本当に後輩に助けられました。
まだまだ弱い立場の人間が不都合を強いられている世の中です。そんな人々を少しでもサポート出来たら!と思います。そしてそれこそが学ぶ原動力になると思います。
私もとても勉強させてもらいました。