dantelのブログ

日々の心境、思想、学び、気づき等を書き留めています。いつか、後世への遺物となることを願っています。

モリのいる場所

夫婦で映画『モリのいる場所』を観て参りました。

毎週水曜日はチケット代が1,100円となり、とてもお得な上、平日なので人が少なくとてもゆっくり観られることが嬉しい限りです。

この映画は実際にいた画家、熊谷守一さんの晩年の頃をモデルにした物語です。

熊谷守一さんは昭和52年7月、97歳で亡くなられましたが、晩年はご自宅の家、庭から約30年間ほとんど出ず、毎日庭に住む植物、蟻やカマキリ、蛙や猫などを観察し、夜中に絵を描くという人生であったといいます。

画家でありながらも欲がなく、名誉にも興味がないので清貧、生活は大変だったといいます。

しかし、その人間の常識的な日常生活にとらわれることなく、必要以上の繋がりや物を持ちたがらず、ゆっくりゆっくり生命を感じて生きる。実はそんな生き方こそが本当の意味での豊かさであるのではないかと、ハッとさせられました。

庭で寝転びながら、じっと蟻を観察している時、
熊谷家に来ていたカメラマンにこう言うのです。

『最近になって気づいたんだが、蟻は左の2番目の足から歩いてるね。』

それを聞いたカメラマンは、守一と同じ格好になり、蟻を観察するのですが、蟻の動きが早くてよく見えません。

そこで守一は何度もいいます。

『ゆっくり観て』と。

このシーンはとても印象深く、私の心に残りました。

スピードが要求されることが多い今の世の中で、ゆっくりと何かを観たり、ゆっくり物思いにふけったり、熟考したりすることがいかに価値があり、生命に深い豊かさと感動を与えてくれるものであるか、そこに気づかせて貰いました。

物の豊かさ、便利さも大切ですが、心の豊かさこそ本来生きる喜びである。

また私の人生の中で、養分となり生き方に影響を与えてもらいました。

f:id:dantel:20180523181627j:plain