大林監督とがん
前回の続きになりますが、いのちのセミナーより、大林宣彦監督からのメッセージで心に残ったことを書き残します。
大林監督は、2016年8月24日に末期の肺がんと診断され、余命3ヶ月と言い渡されました。それも、映画『花筐』の撮影に入る前日だったのです。
それから『がん』との共同生活が始まりました。
がんも一生懸命に生きている。
そう思うと自分はがんを住ませてやっている宿主、がんは住ませてもらっている宿子として考えるようになったのです。
大林監督はいつも、がんとこんな会話をするそうです。
『おい、がん君。君もしっかり生きていたいだろう?だったら宿主である俺をあんまり困らせちゃだめだよ。宿主の俺がしんじゃったら、君も死んじゃうんだから。』
だから余命3ヶ月と言われても、今もこうやって元気に暮らされているそうです。
そして同時に、
『まてよ。俺だって地球の宿子だ。我々人間はみんな地球の宿子。だったら宿主の地球を困らせることはしちゃならない。』
そんな風に、がんになる事80歳ではじめて気づかれたのです。
人間というものは、自分の命は大切にして、動物・植物などあらゆる生命も含めて他人の命は不幸にしてしまう。
自分の命も、蚊の命も、草の命も、地球からすればどれも大切な命です。
自分の命のように、あらゆるものを大切に思えたなら、世の中はもっと良くなっていくのでしょう。
大林監督の言葉には一つ一つ気付かさせられ、考えさせられるものがあります。
日本を代表する素晴らしい映画監督です。