dantelのブログ

日々の心境、思想、学び、気づき等を書き留めています。いつか、後世への遺物となることを願っています。

屋久杉に学ぶ

先日、立命館大学の社会人向けセミナーに参加して参りました。明治維新を中心としたセミナーで、教育、経済、道徳といった人生における大切なテーマでした。

その中で、屋久島に関するお話がありました。

屋久島は皆さんご承知だと思います。
世界遺産にも登録され、今ではパワースポットとされています。また、映画『もののけ姫』でもモデルとなった場所です。

この島の自然、生き物たちは長い年月、何によって守られているでしょう?

それは、樹齢1,000年を超える屋久杉たちだそうです。

屋久杉が長い年月をかけ、育ち、森を作り、外からの害を守り続けているからです。

しかし、この屋久杉というのは、育てるのに一苦労するそうです。それは他の植物に比べて成長が極めて遅いからです。一縄筋ではいきません。

しかし、この成長が遅い屋久杉が、結果的に島を守る無くてはならない存在になっているのです。

これは自然界の摂理であり、また同じ自然界に生きる人間にもあてはまるのではないでしょうか。

とかく明治維新以降、欧米列強の植民地化を逃れるため、日本は強国へと急いで改革を進めました。

そのお陰で、教育も経済も軍事力も、急ピッチで欧米諸国と肩を列べられるぐらいになりました。

しかし、そこには多くの犠牲があった。明治以降の日本は、みんな『何かになるための努力』の時代を生きています。

その何かなるためには競争をして勝っていかなければなりません。

そうすると、暗記型の教育が中心となり、屋久杉のように腰を据えてゆっくり成長していくものは排除されていくのです。

しかし、本来は屋久杉のように、生きる意味、学ぶ意味、道理などをゆっくりゆっくり身につけ、歳を重ねる度に味わいのある人生こそが、本当の意味での『人間形成』なのではないでしょうか。

明治維新以降150年。そろそろ、生きる本来の意味を考えてなおさなければいけない時期が来たように感じます。