「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」より
インフルエンザになり、改めて何もしない時間(正式には出来ない時間)を数日過ごすというのも、予定していた計画たちに悪いような、申し訳ないような後ろめたさを少なからず感じてしまいます。
しかし開き直って、たまにはゆっくりぼーっとしてみようと思い、久しぶりにテレビを長時間観ました。
たまたまお昼にやっていた番組、「ローカル路線バス乗り継ぎの旅Z」の再放送を観たのですが、これが結構面白くて見入ってしまったのです。
内容は、路線バスのみだけを使って、あるスタート地点から目的地を目指すというとてもシンプルなものです。
ただし、インターネットなどは使えず、情報は地図、時刻表、案内所や地元の人から得ること。3泊4日以内にゴールといった時間制限があり、俳優の田中要次さん、作家の羽田圭介さんと、マドンナ的ゲストとして女性(女優など)を呼び、3人が力をあわせて挑んでいきます。
温泉や食事、絶景を楽しむような番組でもなく、道中のトークを盛り上げるために人気芸人などを入れるわけでもありません。
バラエティーさもグルメ感もないこの番組の、私が引き込まれた魅力とは一体何でしょうか。
それは、『便利さからの解放』だと考えました。
例えば、目的地がわかっているなら、現在ならGoogleを使えば一発で表示してくれるでしょう。
私もよく使うヤフー!の乗換案内アプリを使えば、バスの乗り継ぎまでこと細かく教えてくれます。
この便利さが当たり前になってしまった現代人の最大の危惧は、この便利さを失うということではないでしょうか。
そうなった時、何を頼りに、何を道しるべにしていくのでしょう。
その危機感や、便利さを失ったことで得られる必死さ、そして本来人間が持っている根底から涌き出てくる力のようなものを、この番組から感じるのです。
だから、観ている人を笑わそうとか、美味しい食べ物で魅了しようというものが全く要らないのだと思います。
そして、あらためて『便利』を使える環境に有り難さを思い、『便利』にはない人間の力の尊さを感じさせるのでしょう。
便利な世の中で、今のこの便利さを失ってしまうと、人はどうなるのでしょうか。
便利が当たり前ではなく、今、便利なものを持っているに過ぎないという意識改革が必要なのかもしれません。
私なりの番組解釈ですが、佳い気付きを頂きました。