三が日
この三が日は、非常に充実した日々でした。
元旦は、前述のように毎年変わらぬ大事な時間を過ごせましたし、二日は妻の実家にて、すき焼きや御節料理を楽しみ、実家近くのお寺に皆で参り、自宅ではトランプで盛り上がりました。
これも毎年の行事ではありますが、共に生きあう家族の喜びをじわっと味わえた、至福の時間でありました。
そして三日は、早朝から内村鑑三の『代表的日本人』を再読し、大切な資料の整理などで心に養分が入りました。
午後からは、家族で初めての書き初めをしたのです。
今年一年をどう生きるか。そんなテーマは子供にとって難しいものですが、長女は迷わず決まったようで、『元気』『力』を筆にしました。
3歳の次女も、字にならない文字をしっかり書き、妻は一文字『和』(なごみ)を表しました。私は『誠実』と書き記しました。これは年間の目標のスローガンでもあります。
そのあとは、2本の映画を観ました。
一つは師匠から借りた1987年、デイビット・ジョーンズ監督作品『チャーリングクロス84番地』という映画です。
ニューヨークで暮らすヘレーヌという女流作家は、珍しい趣味『古書集め』によって、ロンドンで古書店を営むフランクという店主と出会います。
出会うといっても、実際に会うのではなく、古書の売買によって始まった文通で心を交わし会うのです。
そして20年もの月日が経ったある日、ヘレーヌはフランクが病死したことを知るのです。
古書というお互いの趣味から始まった20年もの文通の往復は、観るものを優しい気持ちにさせてくれます。
心暖まる余韻の残してくれる映画でありました。
そして2本目は、長女が借りた『火垂るの墓』です。
火垂るの墓はもう何度も観ましたが、今回ほどに心苦しくなったことはありませんでした。
戦争孤児のあまりにも残酷で厳しい物語は、観るものの心を苦しめます。
辛くて仕方ありませんでしたが、兄妹が亡くなった後、ちゃんと二人は出会えているという事を前提にしている事が唯一の救いです。
長女も悲しくて泣きそうになったと言っていましたので、彼女にもだんだん『悲しい』という感情が明徳として育っているのでしょう。
人が映画や本などを観て悲しむ心があるのは、そのものが悲しいというからではありません。自分の中に悲しみを持っているからこそ、人はその悲しみが分かるのです。
悲しみの経験がなければ、他人の悲しみをわかってあげられないものです。
というような三が日を味わい、本当にありがたく思います。
さあ、不如意なことも多々あるでしょう2018年を、共に生きあう人々と共に味わっていきたいと思います。