dantelのブログ

日々の心境、思想、学び、気づき等を書き留めています。いつか、後世への遺物となることを願っています。

涙を流すより、考えてほしい

ハードディスクに録りためていた、
アウシュヴィッツ・ビルケナウ博物館で働く、
中谷 剛さんの特集番組(NHK)を観ました。

中谷さんは、世界遺産アウシュヴィッツ
ビルケナウ強制収容所アウシュヴィッツ
ビルケナウ博物館の、最初で唯一の
外国人公式ガイドであります。

主に、日本人見学者のガイドを勤めておられます。

アウシュビッツは、ナチス・ドイツ
第二次世界大戦中の1940年、占領下のポーランド
政治犯を収容するため開設、後にユダヤ人らを
大量虐殺する「絶滅収容所」となったのです。

この場所には、130万人以上が連行され、
ユダヤ人がその9割を占めていたそうです。

中谷さんは、学生時代にポーランド旅行で
出会ったポーランド人と社会人になって再会。
そこで、『アウシュビッツ収容所にいた』という
ことを告白され、衝撃を受けたそうです。

そして、『歴史にかかわる仕事をしよう』と
決心し、ポーランドでの永住を決めたのです。

一つの出会いで、こんなにも後の人生を
変えてしまう。出会いというものは、
すごい影響力であります。

アウシュビッツという負の歴史は、私が語るまでも
ありませんが、このような壮絶な歴史が生まれた 背景に着目しなければいけません。

多くの人々は、ヒトラーが悪魔だったからと、
ヒトラーの人格を否定することで、この問題を 決定しまいがちです。

しかし、そうではありません。

ドイツは第一次世界対戦で敗戦。
巨額な賠償金を払わされ、国内の失業率は
30%以上という、大打撃を受けたのです。

その恐慌を経済から救いだしていくのが、
ナチス党でありました。

ナチス党が政権を握ると、瞬く間に国民に
労働が戻り、パンが食べられるようになりました。

そして、そもそもの民族間の問題が引き起こした
としたプロパガンダが、ユダヤ人差別を
巻き起こしたのです。

良民も無知であれば、プロパガンダに侵されます。
また、無知でなくとも、時の空気や風潮、圧力に
より、一方的な思想しか持てなくなるのです。

戦争や差別といったものは、こういった空気に
よって生み出されるものだということ。

そして、その空気が勝ればアウシュビッツ
ような悲劇が平気に行われるということ。

アウシュビッツは、それを教えてくれる、犠牲の
上にある、未来の人間への教えであると思います。

中谷さんは見学者に、『考えてみてください。』
という問いをたくさん投げ掛けていました。

それは、答えはそれぞれ自由であり、それを問い
続けることこそが大切だとしているからです。

そして、それは前館長の

『涙を流すより、考えてほしい』

という言葉にありました。

人類を歴史を学ぶことしか、
今の時代とは戦えません。

一人一人が真剣に歴史を学んでいく。
そんな教育が今の日本には不足していることを
とても懸念しています。

日本では、戦争映画やドキュメント番組、
そして本もたくさんあります。

しかし、ただ涙を流すだけで終わるのではなく、
なぜ戦争が起こるのか、今、どういったことが
行われているのか、真剣に考えるべきだと
私は思います。

我々大人が、大真面目に学ぶべきなのです。

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