先日、映画『博士の愛した数式』を観ました。
もう10年以上も前の映画ですが、
小説の著者である小川洋子さんと、
河合隼雄さんの対話本、
『生きるとは、自分の物語をつくること』を
読んだことがきっかけで、観ることになりました。
主人公の博士は、過去に起きた交通事故により、80分しか記憶がもちません。
すなわち、80分経つと記憶は
無くなってしまうのです。
その博士の家に、家政婦が雇われるのですが、
博士と家政婦との間には、恋でもない、純粋な
『友情と愛』が生まれるのが、
とても美しく感じます。
博士は、星を見て綺麗だと思ったり、
花を見て美しいと感じるように、
数字にも美しさを感じています。
そして、博士の時計に刻まれた284という数字と、家政婦の誕生日である220(2月20日)の間に、
『友愛数』を見付けるのです。
お互いの約数の和を計算すると、
284の約数の和は220。
220の約数の和は284。
友愛数は、滅多に存在しない組み合わせだそうで、フェルマーやデカルトも、一組ずつしか
見つけられなかった奇跡の組合せです。
この友愛数を、
『神の計らいを受けた絆で結ばれ合った数字』
という博士は、数学博士でもあり、
文学者だなぁと思わせるところに、
この映画の優しさ、美しさが伝わってきました。
著者も書かれていましたが、この映画は、
数字という永遠性に、人間という有限性が
支えられるところに、普遍的なテーマがあると
思います。
小説も、読んでみようと思います。
情緒深い映画に感謝です。