指輪
事故から1日が経ち、念のため、痛む箇所は病院でレントゲンをとりました。
左手の小指あたりも腫れていたので、手のひらを撮影するときです。
レントゲン技師の方に、『指輪を外してもらえますか』と言われました。
私は、今でもたまに空手をするのですが、指輪を外すのはその時ぐらいです。
なので、あ、そうかといった気持ちで指輪を外そうとしました。
しかしながら、指が浮腫んでうまく外せません。
仕方がないからそのまま撮影しました。
私は空手以外には、全くといってよいほど、指輪を外しません。
それは、父の影響だとおもいます。
父は、私が幼い頃からずっと結婚指輪をしていました。外したとこなど見たことがありません。
そんな父も、約2年前に他界しました。
父が亡くなる1年前に、母がこの世を去ったのですか、それからも父は、指輪を外すことはありませんでした。
父が亡くなったとき、痩せてしまった薬指にしていた指輪が、今でも脳裏に焼き付いています。
私は、父の性格、個性をあまり好まない人生を歩んできました。
しかしながら、父の影響を多大に受けていることを知らされます。
指輪は、その一つです。
私の左手の薬指を見るたびに、父の薬指と繋がっているように思います。
死を持って、新たな父との出会いがある。
薬指の指輪は、きっと親子の物語を繋いでくれているのでしょう。