名著
自粛要請が各地で出ています。
こういった時には、ゆっくり本と向き合う。時間を忘れ、ただただ、本と、自分と向きあってみる。
20代はハウツー物をよく読みましたが、その根本は、【古典にあり!】と気付いた時から、古典をゆっくり、解らないなりにゆっくり読むようになりました。
東洋、日本のものでは、内村鑑三【後世への最大遺物】【代表的日本人】は、私の人生を変えるといっても過言ではないほどの影響を与えてくれました。
また、有名ですが夏目漱石の【こころ】。文明開化と明治の終わりが、当時の体温で伝わってくるようで、とても感動したことを覚えています。
孔子の【論語】はまだまだ勉強中、【中庸】【大学】という中国の古典も、ゆっくりゆっくり染み込ませています。
西洋のものでは、トルストイの【人はなんで生きるか】【イワン・リッチの死】などは、生きる上で大切な態度を教えてくれています。
少し飛びますが、ハンナ・アーレントの【エルサレムのアイヒマン】は強烈でした。悪の陳腐なもの、誰でもなり得るという教訓を教えてくれています。
ディケンズの【クリスマスキャロル】も佳い読み物だなぁと思います。
あとは、安岡正篤、中村天風、森信三は人間形成の教科書にしています。
最近では稲盛和夫の【心】。あと行ったり来たり、ジャンルバラバラですが(笑)、サピエンス全史、それか昨年発売のファクトフルネスは、歴史やものの見方が変わる、素晴らしい研究者の本でした。
渋沢栄一と同じ埼玉県出身の本多清六、【私の財産告白】はすごい!
日比谷公園、明治神宮、国立公園などはこの方の寄付によって作られました。恐るべき偉人です。
最後に、城山三郎の【落日燃ゆ】も好きです。外交官、広田弘毅の人生を画いています。外交官ものは好きで、重光葵の本も読みました。
重光は、太平洋戦争を無条件降伏した日本の、公用語を英語にすると発布を出したマッカーサーに命懸けで直談判しました。あまり知られていませんが、日本語を守った男といっても過言ではありません。
色々書き出すと止まりませんが・・・
こういう時世にこそ、過去の偉人に触れ、人生を見つめてみる佳い機会にと思います。
態度価値
先日、某ドラッグストアーにお勤めの私のお客さまから、考えさせられるお話を聞きました。
最近は新型コロナウイルスの影響で、ドラッグストアーの前には毎日、開店2時間前からマスクなどを買い求めて行列ができるようです。
ご存じの通り、マスクの需要供給バランスは崩れ、お店もマスクが入ってくるかこないかはその日に分かるそうです。
お店が開店し、私のお客さまが冒頭、
『大変申し訳ありません。本日のマスクの入荷はございませんでした。』
と、並んでいた方々に申し上げると、多くの人はそのまま帰っていくか、又は他の商品の買い物をされるのですが、こういった態度をとる人が必ずいるそうです。
『なんで入ってこうへんねん!』
『どれだけ待ったと思ってんねん!』
『いつ入ってくるかはっきりさせろ!』
などと、自分の顔をスタッフの顔のすれすれにまで接近させ、大きな声で怒鳴り散らす人です。
極めつけは、
『なんでお前、マスクしとんねん!』と、マスクを引っ張られたとか。
それでも、ただ、申し訳ありませんと言うしかない、辛い状況をお話くださいました。
この話を聞いて、ふと思い出すのは【夜と霧】の著者である、ヴィクトール・E・フランクルの『態度価値』という言葉です。
フランクルはユダヤ人の精神科医であり、第二次世界大戦中、ドイツのアウシュビッツ収容所に強制収容されていました。
アウシュビッツでは、過酷な労働を強要され、暴力を振るわれ、食事は1日パン2つという絶望的な環境の中ではありましたが、そんな中でも歌を歌うもの、人を励ますもの、わずかな食事を分け与えるものがいたのです。
そこでフランクルは悟りました。
『どんな環境にいても、何をされても、そこでとる態度だけは、決して誰にも奪われない自由なものである』と。
これを態度価値と名付けました。
コロナウイルスによって世界中が大変な状況下にあります。
しかし、その時その時、自分がとる態度だけは誰にも奪われないものなのです。
本当に大変な状況です。
怒鳴り散らす人の人情もわかります。
しかし、自分ならどういった態度をとるか。状況をコントロールするのは出来ませんが、態度の自由を考え、行動できればと思いました。
リンカーンの言葉
アメリカ第16代大統領、エイブラハム・リンカーンに関する物語が非常に面白い。
ある時、リンカーン大統領の親友が大統領に自分の親しいある人を採用してくれくれるように頼みました。
ところが、一向に実行してくれません。
腹をたてた親友はリンカーンに、私が頼んだあれをどうして採用してくれんのかと言って詰め寄りますが、リンカーンはこう答えたのです。
『いや、あの男は人相が気に入らん、面構えが気に入らん』
それを聞いた親友は、大統領ともあろうものが、人相が気に入らん、面構えが気に入らんなんて言うて、人を採らんというのはもってのほかだ!と立腹しましたが、
『そうじゃない。男は齢四十になれば、己の人相に責任がある。』
とはっきり言い返したそうです。
これはとても面白い話だと思います。人間は内面が顔に現れるとよく言います。
四十歳にもなれば、その人間の内実というものが表れて外貌を作る。
イケメンとかそう言うことではないですね。顔に生きざまが出るということです。
自分の人相に自信はありますか?
と言われたらドキッとしますね!
内面を磨く、普段の行いを正しくすることによって、その答えが顔に滲み出てくるのでしょう。
内面、人間を形成していくための学問を心がけなければ!とリンカーンから学んだのでした。
気付き
ここ数年、日本をはじめ、世界で人気のタピオカ。(食べたこともノンだことも私はありませんが・・・)
タピオカは最近のものと思われがちですが、実は戦前、日本帝国海軍でも愛食されていたのを知りました。
世界各国を巡る遠洋航海の艦上レセプションや艦上御餐会では、デザートにタピオカプリンが出ていたそうです。
戦艦大和の特攻作戦であった『天一号作戦』で戦死、戦艦大和の主計兵であった方が残された資料の中に、タピオカプリンのレシピが残っていたそうです。
最近のもののようで、実は昔からあったり、昔からあるようで実は最近のもの、
そんやものが沢山あるように思います。
何でも調べてみないとわからないものです。
そういえば、批評家、若松英輔さんの著書『言葉の贈り物』に、
【本を読むとは、言葉を食べること】という一文がありました。
本を読むことは、食べ物を食べることと同じように、栄養を得ている。
よい言葉に出会うことは、よい言葉を食べ、心の、生命の養分にしているのかもしれません。
明日はどんな言葉に、どんな本に、どんな叡智に出会うのか。
そしていかに自分の固定概念が強いのか、イメージだけを強固なものにしているのか・・・。
明日の気付きが、またとても楽しみです。
『成功をつかもう』という浅はかさ
渋沢栄一翁『論語と算盤』をゆっくり読んでいると、心に栄養分が送られるような感覚が致します。
著書の中に、目に見えることだけで、成功とか失敗とかを判断するのは、非常に浅はかであるという言葉があります。
時世の成功だけを求めて、永遠の失敗者となる例えを、歴史から戒めていました。
湊川の戦いで矢尽き刀折れて戦死した楠木正成は『失敗者』で、征夷大将軍の位に上り詰め日本中を支配下に置いた足利尊氏は確かに『成功者』でありました。
しかしながら、現在においては、尊氏を崇拝する人はいないが、正成を尊敬し崇拝する人は日本中どこにでもいます(明治時代は特にそうだったようです)。
また、菅原道真と藤原時平については、時平は当時の『成功者』であり、無実の罪で流された大宰府の地で寂しく月を眺めるしかなかった道真は、当時の『失敗者』であったでしょう。
けれども、今では道真は『天満大自在』として、全国の津々浦々にいたるまで奉られています。
道真の失敗は失敗ではなく、彼はむしろ真の成功者であることを読み解く、非常に分かりやすい例えです。
成功とは、『義』を求めた上での『利』という結果であり、『利』を求めて『義』をかく成功など、真の成功者とは言えない。
とかく現代では、義を欠いた『利潤』に目を奪われがちであります。マスクなどの転売で利潤を獲ようなど、以ての外。
『義』を貫く勇気、格を磨かねばと改めて思う次第です。
無知が生むもの
新型コロナウイルスの影響で、とんだデマが拡散されているといいます。
ティッシュペーパーやトイレットペーパーが、マスク大量生産によってそちらに資源が回され、無くなってしまうというものです。
これによって、ティッシュペーパーなどの大量買いがあり、スーパーで品切れが続出しました。
我が家の近くのイオンも、夕方にはほとんど売り切れていました。
この事態に、大手メーカーは全面否定の声明文を発表しました。
この現象は、あきらかに【無知】が起こしたものでしょう。
無知は恐れを生む。
恐れは差別を生む。
大量買いに走った人の中には、高値で転売を目的にしているケースもあるという。
五里霧中のこの期に及んで、儲けようなど本当に恥ずかしい行為です。
世界としても、そして日本としても初めて経験する異常事態なので、情報は大切ですが、デマには本当に気をつけなければなりません。
専門家の意見であるかどうか、厚生労働省の見解はどうか、まずはそこを確認することがスタンダードだと思います。
終息宣言の日まで、皆で協力しあって乗り越えていきたいものです。
東京・埼玉の旅を終えて
一昨日から3日間、東京・埼玉の旅を味わって参りました。天候にも恵まれ、本当に佳い時間でした。
初日は2世帯のお客さまとお会いしました。新橋、渋谷でお会いしましたが、人の多さ、人が放つエネルギー、やはり首都ですね、すごく感じました。
夕方からは、お知り合いになった下山口の居酒屋さんで、友人の一人と飲みました。
仕事や家族や野球や人間関係について4時間半語らいあいました。彼が大阪にいた頃、二人で飲むこともありませんでしたが、離れたからこそ実現できたことでもあり、新鮮さを感じました。
そして店主からは、西武ライオンズのユニフォームをプレゼント頂くという驚きのサプライズ。お酒の進む本当に嬉しい1日になりました。
2日目は午後から研修だったので、午前中は、私が尊敬する歴史上人物の一人である内村鑑三先生のゆかりの地、【今井館】に行って参りました。
今井館という名前の由来は、内村鑑三先生の塾生であった大阪の香料商、今井樟太郎の死後、その遺志に基づき、内村先生に献じられ、建てられたことから名付けられたそうです。
新渡戸稲造の『武士道』、岡倉天心の『茶の本』に並んで、内村鑑三の『代表的日本人』は、当初英語で書かれ、アメリカやヨーロッパで爆発的な人気を誇りました。
これらの名著によって、開国後、西洋人がいだく野蛮な日本人というイメージを、大きく払拭することとなります。
今井館のスタッフの方が、懇切丁寧に案内下さり、その親切の香りが、私の心を美しくしてくれたように思います。
午後は会社の研修でした。
これはこれで、課題は山積みであるとう問題意識が沸いて出てきましたが、ここでは会社の事ですので割愛致します。
最終日3日目は、渋沢栄一先生ゆかりの地へ行って参りました。
生誕の地、史料館は埼玉県深谷市の血洗島(ぞっとするような地名ですが)というところにありました。
田畑の多い、自然豊かな場所にあるこのゆかりの地には、渋沢栄一先生が2024年から新一万円札の顔となる事が決定したことだけあり、平日にも観光名池として、多くの人が訪ねていました。
著書、『論語と算盤』は有名ですが、まだ商人が蔑まれた時代に、日本を豊かにするためには、政治だけではなく商工が発達しなければならないという思いから、当時の大蔵省を辞職し、実業界へ転身。
その後、日本製紙や第一国立銀行、東京証券取引所など実に600もの会社の設立・経営に関わる、正に『日本資本主義の父』の所以を残すことになりました。
その軌跡をたどりながら、その歴史を感じ、また自分のこれからの人生について、何を残せるのか?を考えました。
内村鑑三先生もそうですが、生まれてきたからには、自分が死ぬまでに少しでもこの世界に恩返しができることをしたいと考えています。
その答えが、生まれた時よりも、少しでも佳い世の中にして死ぬということです。
これこそ本望と、人生の目的とされているところに、お二人の、日本への世界への大きな愛を感じます。
は、読みなおしてみたいところです。
実りの多い3日間、この実を少しでも人生に活かせるよう、日々新たに学んでいこうと思います。
※城山三郎著書【雄気堂々】を数年前に読みました。波乱万丈の渋沢栄一の人生を如実に書かれた素晴らしい物語だと思います。
東京・埼玉の旅は本当に佳いものとなりました。温かいお言葉、御気遣い有難うございました。
今日から3日間
今日から3日間、東京・埼玉の旅です。
初日は、お客さまとの商談が2件、夜は東京へ単身赴任中の友人と、久しぶりにご飯を食べる予定です。
お店は、一昨年家族でライオンズを応援に行った際、ふらっと訪れた下山口の居酒屋さん。
ライオンズのユニフォームをプレゼントして頂き、お礼状を送ったり、年賀状のやり取りをしておりました。久しぶりにお伺いできるので、非常に楽しみです。
2日目は、午前中に『代表的日本人』の著者、内村鑑三先生ゆかりの【今井館】に訪れ、午後からは仕事。
3日目は、有給休暇を取得して、以前から行きたかった【渋沢栄一記念館】と【安岡正篤記念館】に行く予定です。
道中、富士山がとても綺麗な姿を魅せてくれました。
こんな贅沢な三日間。
有意義に過ごしたいと思います。
ゴッホ展
建国記念日の日、家族で兵庫県立美術館で開催中の『ゴッホ展』に行って参りました。
入り口に到着するなり、チケットを求める長蛇の列。事前にチケットは購入していましたが、入場規制がかかるほどの人気。ここまでとは思いもよりませんでした。
ゴッホの生涯はわずか37年。しかも、絵を描いたのは10年のみです。
10年の短い時間の中だからこそ、その集中と情熱が伝わってきます。
ゴッホは2,000枚以上の作品を残したと言われていますが、生前に売れた絵画はたったの1枚。その才能は、彼が亡くなってから認められました。
絵については全くの素人の私ですが、絵を描きはじめてから晩年の作品まで、ゴッホの軌跡を辿る構成になっており、非常に楽しめました。
そんなゴッホは、このような言葉を残しています。
『偉業は一時的な衝動でなされるものではなく、小さなことの積み重ねによって成し遂げられるのだ。』
今日できることは僅かではありますが、今日やれることは今日のうちに精一杯やるということこそ、偉業とまでは言いませんが、俯瞰すれば【幸せ】であると思います。
ゴッホの絵と生き方から、おもしろく生きる術を学んだように思います。
素敵な言葉
少し冬らしく感じる日もありますが、やはり今年は暖冬ですね。
先日、同じ職場の大先輩が、定年退職を迎えられました。
この業界一筋でやってこられたベテランで、人間的にも素晴らしい人格者の方です。
その先輩が、好きな言葉として以下のメッセージを伝えてくれました。
『朝は希望に起き、昼は努力に生き、夜は感謝に眠る』
よく、お寺の前に、名言が張り出されていますが、そこで見かけたことを思い出しました。
自分の朝はどんな目覚め方をしているだろうか?昼はほんとうに努力に生きているのか?夜は一日を感謝して眠っているだろうか?
自分を省みる機会を与えてもらいました。
『朝は希望に起き、昼は努力に生き、夜は感謝に眠る』
このような生き方に、少しでも近づけたいものです。
そして平時穏やかで、
げんきよく きげんよく。